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2025年10月28日

「PMDOC X」誕生の舞台裏 — XMLワンソースで変える医薬品・医療機器文書管理の未来

 

グラクソのコンペと、製薬会社での最初の採用

最初の挑戦はグラクソ・スミスクライン社のコンペでした。弊社が提案したシステムはIT部門からは評価されたものの、実際に使用するユーザーからは「Wordに比べて使い難そうね!」という率直な意見があり、残念ながら採用には至りませんでした。現場の声は、貴重なもので使い勝手がいかに重要かを示すものでした。

その後、某製薬会社(東証プライムに上場する中堅の製薬会社)がシステム導入に興味を示してくれました。同社は文書管理の専門性が高く、担当者の交代や引継ぎが難しいという課題を抱えていました。弊社はこの課題に応える形で、1年間がかりでシステムを構築。結果として、7年間にわたり安定して使用いただくことになりました。

この経験は、PMDOCシリーズの方向性を決める大きな礎となりました。「現場で本当に使えるシステムとは何か」を学ぶ貴重な機会であり、単なる提案にとどまらず、ユーザーの運用環境や慣れにも寄り添う設計思想の源になっています。

   

SGMLからXMLへ — 業界全体が直面した転換期

当時の文書管理はSGMLが主流でした。WordにSGML生成プラグインが埋め込まれSGMLを書き出し、PDFは印刷会社が別途作成するという流れです。しかし、Wordのアップグレードに伴いプラグインの修正や更新が必要な場合などは非常に手間がかかり、現場の負担は大きくなっていました。

業界全体における「データの利活用と効率性の向上」という大きな波を受け、XML形式での管理が求められるようになります。XMLはWebや公文書に適した「構造化文書」であり、取り扱いがコンパクトなのが特徴です。ここで、弊社は「ワンソースから複数フォーマットを出力する」というアイディアを発想し、PMDOCのコンセプトの基盤ができあがりました。
さらにソフトウェアの改良により、修正や改訂記号の更新などの自動化が可能になり、印刷会社への依存も減少しました。これにより、現場は迅速に文書を作成・管理できる環境を手に入れ、業務効率が大幅に改善されることになったのです。

 

「PMDOC X」はXMLデータ(構造化文書)からPDFへの自動組版を実現した

   

印刷会社との複雑な関係と営業の工夫

製薬会社は多くの場合、添付文書の制作を外部委託しており、印刷会社がシステムを内製化しているケースも少なくありません。そのため、システム導入の提案は、競合関係を生む可能性がありました。弊社は、競合になりうる印刷会社との関係を慎重に見極めながら営業を進めました。

実際、某印刷会社はXML対応に興味を示し、導入事例の一つとなりました。しかし、代理店経由の構想はうまくいかず、課題が残りました。そこで弊社は、従来のプッシュ型営業から、問い合わせを起点として展開するプル型営業に切り替え、実際に使いたい企業からの問い合わせに応える形で対応を進めています。

この経験は、単なる販売手法の変更にとどまらず、ユーザーの声を直接反映させる機会にもなりました。現場での運用やニーズを踏まえた提案が可能になったことで、PMDOCは徐々に現場に根づくシステムとして認知されて行きます。

   

「PDFを瞬時に生成」 — 現場での評価

PMDAが提供する「XML作成ツール」では、XMLデータの作成は可能ですが、PDF作成までは対応していません。現場では、XMLのコードだけでは文書の体裁が確認できず、「最終形がすぐに見られない」という不便さがありました。

PMDOC Xはここに着目し、XMLの作成と同じ操作感でPDFを瞬時に生成できる機能を搭載しました。さらに、会社ごとのフォントサイズやインデント、スタイルシートの調整もパラメータで設定可能にしました。

この機能により、Wordに慣れた担当者でも違和感なく使える環境が整いました。導入企業からは「PDFをすぐに確認できるのがありがたい」「作業時間が大幅に減った」「品質が安定した」といった声が寄せられ、現場での評価も高まりました。

 

現場の課題と真摯に向き合う姿勢が、評価へと繋がる

   

次回予告 ― 医薬品・医療機器業界への次なる挑戦へ

XML対応という一大転換を支えたPMDOC X。
医薬品・医療機器双方でのXML対応を経て、PMDOC Xが次に見据えるのは“誰もが優しく使える文書管理システム”の実現――。
EC構築やAI活用への新たな挑戦、そして業界全体へのメッセージをお届けします。